しょうじゅせんねんのみどり
松樹千年の翠
風雪や寒暑に曝され、
苦難と試練に耐えぬき、
千年の翠を 生き生き輝かせている
老松 の 見事さを讃えた言葉です。
苦境に 耐え抜く 心の在り方
苦境に耐え抜く心の在り方―――松は たいへん長生きをする植物であるといわれて、
めでたいものとされていますが、
禪では 松をことのほか讃えています。
松の翠は、千年の長い歳月を経ても、
寒暑や風雪に耐え、
少しもその色をかえない。
そこに
松の尊い真性(すべてに具わる真実不変の本性)がみられます。
千年の翠を持続している松の如く、
私たちが本来もっている真性、
即ち、仏性(真実の自己)というものは、
どんな妄想や煩悩といった 風雪寒暑に曝されても 枯れ散ることはりません。
古松般若(仏の智慧)を談ず
―――松樹千年の翠は、苦境に遭遇しても 屈しない強固な意志力と、
いつまでも変わらない節操が 必要であることを教えています。
このように 松は苦境に屈することのない 強い力を持っています。
同じように、私たち人間にも 苦境に負けない力があることを自覚して
力強く生き抜くことが肝要です。
不透明な時代、不確実な時代、
人間疎外の時代といわれる 現代社会にあって、
どんな苦境に遭遇しようとも、
それを弾機として、苦境を克服することによって、
初めて人間の真価が現われるもので、
「風雪人を磨く」をもって自戒としたいものです。
松千年 今日も新たな 若葉なり
私たちの日常生活においても、
松のごとく 変わらず生き生きとした 翠 のような節操と活力を持ちたいものです。
とはいっても、
松の翠は、春には新しい芽をふき、古い葉は枯れて散っています。
常に 移り変わりながら、
新旧を超えて
千古変わらない生命 を知らなければなりません。
まったく変わらないのならば、造花といっしょです。
日々新たなものがあってこそ、
常に変わらざる姿を保つことができます。
常に変化しながら、
しかも変化しない。
動きながら、
しかも動かない。
そこに
不生不滅の真理を覚知するのが仏法(釈尊の人間教育学)です。
注 釈
*真理=仏法では、釈尊が発見された縁起縁滅の法を真理といいます。
「法」はサンスクリット語(梵語)ではダルマ(Dharma)といいます。
法は
世界(一切のものを全部含んだ無限の時間、無限の空間。宇宙)の秩序をたもつものが本来の意味です。
つまり世界のあらゆるものを維持し、存続させる法則ともいうべきものです。
これを仏法では、
縁起縁滅
(一切の事物は因縁によって生ずるものであるから、因縁がなくなれば、生滅する)の 法といいます。
釈尊自身、
この法は 私が発見する前からあったもので、
これまで人々が気付いていなかっただけである と述べられています。
*因縁(いんねん)=結果を引き起こす直接の内的原因である因と、
それを外から助ける間接的原因である縁。
仏法では、すべての生滅は この二つの力によると説く。
日々に新たに
―――八十歳の山僧黙雷、
老松の若葉のように、
日々新しい心で物事を考え、
人に接し、事に対処するように、自分を戒めています。
松は応に歳を添て寿し
―――松の老木が 歳を重ねて、
なお生き生きと翠を輝かせている。
歳を重ねることは老化ではなく、
ますます磨きがかかることなのです。
寿山 青くして 老いず
自然宗佛國寺:開山 黙雷和尚が、
行脚(徒歩)55年・下座行(路上坐禅)50年 、山居生活、で得たものをお伝えしています。
下記FB:自然宗佛國寺から、毎月1日に掲載。
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感謝合掌 住持職:釈 妙円
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